もくじ
プロスペクト理論
人間は得をした嬉しさよりも、損をした時のガッカリ感を強く感じるようにできているため、感覚でトレードを行った際に、合理的な判断ができなくなってしまう現象が起こります。

上の図は、同じ幅でチャートが動いた場合であっても、損失が出ている時と利益が出ている時とでは行動に差が出てしまう人間心理を表したものです。
利益がこぼれ落ちる黄色矢印の部分で強い苦痛を感じるので小さな利益で決済をしてしまい、損失額をもっと減らしたい赤矢印の部分では痛みを伴う損切の決断が出来ず、ずるずると損失を大きくしてしまいます。
このような合理的ではない行動を繰り返してしまうことで、買うか売るかの2択であってもどんどん資金が減ってしまいます。これはトレード方向と決済ポイントをサイコロで決めた方がまだマシともいえる状態です。
また、人間心理を揺さぶるような相場は頻繁に現れ、迷いのあるトレーダーたちを振り落としにかかります。

あらかじめ決めた資金配分や決済ポイントを守ることで、感情の影響を受けないトレードを心がけなくてはいけません。
迷願触昂(めいがんしょっこう)の誓い
迷願触昂とは、メンタルが乱れやすい4つのポイントをまとめた用語です。
この部分さえ意識して対策しておけば、メンタル管理に苦しむことは少なくなるでしょう。
1 相場に参加する時に迷わない

売買ルールが決まっていない時、または自分が決めたルールに自信が持てない時に迷いが生じます。
迷ったまま相場に参加すると簡単にプロスペクト理論の餌食になります。
対策 バックテスターやシミュレーターを使って戦術を固めておけば、迷ったままエントリーすることは無くなります。

2 相場に参加したら願わない

損切価格を決めていない場合やロット数が大きすぎる場合、迷った状態で相場に参加してしまった場合に起こる症状です。
頼む、お願い、助けて、神様などの単語が頭に浮かんで来たら、そのトレード方法はただのギャンブルです。
一旦相場をお休みして戦略を練り直しましょう。
対策 適切なロット数を確認する。根拠を持って相場に参加する。決済位置を決めたら規定の時間までチャートを見ない。


3 決済ポイントが近づいても触らない


エントリーした状態でチャートを見ていると、決済ポイントを決めているにもかかわらず、損失を確定させたくない心理からその場しのぎの損切りずらしや、利益を取りこぼす不安から利益の10%~20%を捨てての早期決済をしてしまうことがあります。たまたま成功するケースもありますが、クセづくとルールの崩壊につながります。
対策 決済ポイントを動かした場合と動かさない場合のどちらが得かをバックテスターで確認できるので結果を見ておけば無駄に触らずに済みます。『願わない』と同じく規定の時間までチャートを見ないことで対策できます。

4 決済した後に昂(たかぶ)らない

感情が入ったトレードをすると勝っても負けても、その後のトレードが乱れる可能性があります。
負けた時 苛立ちで冷静さを欠き、損失をはやく取り戻したいという気持ちが先行し、根拠の無いトレードや倍掛けをしてしまう。
勝った時 大きく勝った時は気が大きくなり、少しの負けが怖くなくなるため、調子に乗って根拠の無いトレードや倍掛けをしてしまう。
対策 過剰なロット数でのトレード、根拠の無いトレード(前進力0以下)は破産確率が高くなることをシミュレーターで確認する。また、過剰なロット数でのトレード、根拠の無いトレードはプロスペクト理論の影響を大きく受けるが、実際に体験しなければ頭で理解していても止められない恐れがある。

メンタル編は以上です。
次回でトレードの学習は最後になります。